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第8話 ブドウ

Author: 甘梨鈴
last update Petsa ng paglalathala: 2025-06-10 17:00:55

 ベッドから起き上がれないエマの為に、ナタリナは水差しを持ってきて、少しずつ飲ませてくれた。

 カラカラになった喉が潤って、ようやく息も落ちついてくる。

 クッションをいくつも重ねて背もたれにし、ベッドに座らせると、新しいシーツを出してエマの体を隠すように覆った。

「エマ様のお好きなブドウです。さあ、どうぞ」

 小皿に並べた冷たい白ブドウを、一粒つまんで、エマの唇に差し出す。

 太陽をいっぱいに浴びたブドウは、ツヤツヤとした黄金色だ。

「……ん」

 薄く口を開き、ブドウを舌で転がして、ゆっくり噛みしめる。

 柔らかな甘みが口に広がり、体の中に染み渡っていく。

 エマが頬を緩めると、ナタリナが嬉しそうに微笑んだ。

 一粒、また一粒と、エマの小さな唇に差し出す。

 そうして房の半分ほどを食べおえると、指先に力が戻ってきて、腕も動かせるようになった。

「お一人で食べられますか?」
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